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独り言のようなブログだよ

ちょっとした妄想と日常と少しの現実逃避とMr.Children

短篇4「残り物」

眠れない

そんな夜が続いてる

少しずつ、季節は夏に変わろうとしてる中

教育実習を終えた春歌が大学に帰ってきた。

 

そして、俺たちはあっさりと逃しててはいけないものを逃してしまった。

 

「あー家に帰れないよー」

「……すまん」

 

休日ダイアと平日ダイアを間違えた俺たちは、終電を逃してしまった。

 

「あそこに公園あるし、座ろうよ」

 

深夜の公園なんていつ以来だろう。高校時代、1度付き合ってた彼女と行った記憶が頭によぎる。あの、チャットモンチーがやたら、好きなあの子は、今どこで何をしてるのだろう。

 

「私さー先生になる!」

「えっ?」

「試験落ちても、なんとか、講師やって、必ず先生になる!」

「就職1本にするんじゃ?」

「たった3週間だよ?たった3週間で、私さ、あの子たちの未来を創るお手伝いできたんだよ、これがさ、先生になったら、ずっとできるんだ、それは大変だし、責任あることだけど、昨日、今日関わった子たちの未来を創れる仕事なんてとっても素敵じゃん!それにさ、夢を諦めるのは、こんな恵まれた環境にいる私が諦めるなんてほんとにダサイし」

 

彼女はそれからも、必死で、必死で自分の気持ちを話してくれた。飲み会のときとは打って変わって、真剣な声と表情で

 

「なんかさ、やっぱり酔ってるわー……語りすぎだよね」

「いや、いいと思う凄く、俺みたいに夢すらない奴には眩しすぎるぐらい」

「夢ってさ、見るものじゃなくて叶えるものなんだよ?」

「なにそれ、藤原基央の言葉?」

「違う、長澤 春歌の言葉、悠太郎はさ、どうするのさ!」

「さぁー……俺だけ残り物だからな」

そう言うと彼女は少し笑いながら

「何者みたいに言わないで!」

と突っ込んでみせた

 

夢、夢ってなんだろ、昔は刑事になりたかったし、プロ野球選手にもなりたかった。ギタリストになって、って妄想もしたけれど、そのときの俺はギターの弦が6本でベースの弦が4本だなんてことはしらなかった。そんな無邪気なころに比べて、今の俺はとりあえずで生きている。同じ、とりあえずでも、やりたいこと自分の合ってることを探す、りかや、覚悟を決めた山さんや北村、そして、春歌とは大違いだ

 

「ねぇ悠太郎好きな人っている?」

「えっ?うーん……まぁ……」

「なーんだ、いるんだ」

「春歌は?」

「いるよー」

 

それって、俺だろ?なんてことはもちろん言えないし、それは誰?と聞く勇気も俺にはなかった。

 

「そうだ、就活10連敗中の悠太郎に面接練習したあげる。」

 

「うるさい」

 

誰もいない、公園で、想い人コーポレーション長澤 春香への個人面接が始まった。